下等遊民の妄言

主語でかい

韓国の結婚式

 私の妻は韓国人で、つまり国際結婚をした。それだけでレアケースなので、どこで知り合ったのか、結婚式は挙げたのか、挙げたのならどこで挙げたのかという話になることが多い。

 

「韓国では結婚式挙げない人はほぼいないんですよ」と話すと大抵の人は「そうなんですか、へー」というような反応を示すが、さらに続けて「結婚式をあげると、ほぼ100%黒字になるんですよ」と話すともう少し強い反応が帰ってくる。

 

 私の場合は韓国で教員をしていたために、学生40人ほどが参加したが、この分は赤字になったものの、トータルではやはり黒字になった。そのくらい利益率(?)が高いと言える。

 

 なぜそうなるか。簡単にいえば支出が少なく、収入が多いからだ。韓国の結婚式の流れを簡単に説明すると、まず式場にいくとホールが4つくらいはあるから、自分が参加するホールを入り口で探す。結婚するカップルの名前よりも新郎新婦の父親の名前が大きく書いてあるためちょっとわかりにくい。

 

 ホールの入口には両家の両親が両サイドにいるので、挨拶をする。それから受付に記名して、ご祝儀をわたす。すると「食事券」が貰える。この食事券は金額に関係なく、同行者の人数により、2枚とか3枚とか指定してもらうことができる。

 

 この後、1)式を見ていく、2)食事をする、3)帰る、という選択をすることになる。これが日本との大きな違いだと思うが、韓国では結婚式に来て、式を見ないで金だけ払い、帰ってしまう人がかなりいる。

 

 逆に言うと特に招待していなくてもどこかで聞きつけて、お金だけ払ってくれる人もかなりいる。 

 

 式を見ていく場合は、まず教会風のホールに式の参加者が入る。時間になると新郎が入場し、しばらくすると新婦と父親が入場する。牧師や神父、神主のような人はいないが、「主礼」と呼ばれる新郎の恩師などが新郎新婦の紹介などを行う。場合によっては新郎新婦の友人などが歌をうたったりする。

 

 式が終わると家族、親戚、友人の順番で写真を取る。式の途中でもほぼ自由に途中退席できるし、食事に行く人はいつでもいける。写真撮影が終わると友人などは館内の食事場所に移動する。

 

 この後、新郎新婦とその両親、家族などは韓国の伝統的な儀式的なことをする。これに1時間くらいはかかるが、親しい友人は食事場所で待っている。

 

 食事場所は普通一箇所で、その日に結婚式を挙げるカップルのすべての参加者が同じところで食事をする。4組式を挙げれば、それぞれの参加者が食事場所に来るため、かなり混雑する。ほとんどの人は食事をしてすぐに帰るが、前述したとおり、親しい人や暇な親戚などは新郎新婦が来るまで待っている。新郎新婦は朝から準備で何も食べる時間がないが、ここで余裕があれば一緒に食事をすることができる。

 

 ここで出される食事は、A)2,3種類のメニューから選ぶタイプ、B)ビュッフェ、の2種類がある。Aの場合、新郎新婦の負担は1食1万ウォン程度、Bの場合は3万ウォン程度になる。

 

 ここでやっと本題になる。出席者が300人だとして、全員が平均の10万ウォンを払うとこれだけで3000万ウォン。食事代が900万ウォン、式場と衣装、写真がセットで200万ウォンくらいだから、ざっくり半分以上残る。もちろん、主礼の方へのお礼や雑費がかなりあるため、半分残るとは言わないが、逆に10万ウォン以上払う人も多いため、赤字になったという話を聞いたことがない。

 

 韓国はまだ就職していないカップルが子供ができたわけでもないのに、急に結婚式を挙げる場合があるが、それにも理由がある。ご祝儀の額は、それぞれの地位や収入によって変わるため、新郎新婦(とその両親)の社会的地位が高い場合は、ご祝儀も多い。それで、父親が大きい会社の重役、軍隊の将校、上級公務員を退職する場合は、その前に式を上げたりする。大企業の部長クラスになると、参加者も多く、また付き合いのある人も社会的な地位が高い場合が多いため自然とご祝儀の額も上がるが、退職なり転職なりしてしまうと、急に額が下がってしまう。なんだか悲しい話だがそれが現実らしい。

 

 一度、大学3年生の知り合いの女性が結婚するというので、理由を尋ねると、父親職業軍人でかなり階級が高い人なのだが、数年以内に退役するために、その前に式を挙げるのだと教えてくれた。金の問題だけでなく、娘の結婚式で父親が無職よりも現役の将軍(?)のほうが娘も父親も、相手の家族もみんなハッピーということなのだろう。医者や弁護士、会計士などが結婚する場合もこういうことが多い。

 

 だからというか、韓国では日本に比べると、男女の学歴が絶妙なバランスを取っている場合が多い。梨花女子大を卒業した女性の結婚相手は、ソウル大が多く、悪くても延世大か高麗大という日本の早慶のようなところしか見たことがない。もちろん全部が全部そうだとは思わないが。

 

 日本に比べクリスチャンが多い韓国だが、式をあえてカテゴライズすると人前式となるのだと思う。「縁」とか「人脈」を大切にする韓国社会の姿が結婚式の祝儀の額にも現れていると言えるかもしれない。

 

※結婚式のご祝儀にいくら払うかというブログ記事を読んで、そういえばいい年して2万ウォンしか払ってくれない人がいたなあ、と思い出して書いたのだけど、着地点はまったく別のところになってしまった。