下等遊民の妄言

主語でかい

西村賢太=在原業平? んなわけない。

僕は高校の国語の教員免状を持っていて、それを取得するために母校で教育実習をした経験がある。

 

たまたまその期間に扱っていた題材は「伊勢物語」で、そのせいか、なんだか僕はこの歌物語というジャンルが好きだ。

 

日本の物語の系譜を僕なりにとても簡単に説明すると、「伊勢」「大和」という歌物語の流れと、「竹取」「うつほ」という伝奇的なつくり物語の流れがあり、二つの流れが「源氏物語」という近代小説の要素を持つ傑作を産んだ、と言われている、のかな?......専門家はなんというのか知らんけど、僕はまあそう思っている。

 

歌物語とはなんぞやと言われると、「歌」を中心とした物語と言われていて、和歌を詠むまでの場面を描写した物語で、重要な場面で和歌が挿入されているものと考えていいと思う。

 

僕は教育実習で、「感情が頂点に達した時に和歌を詠むのが歌物語」と説明した。

 

で、西村賢太のことだけど、僕は西村賢太の小説を読んでいると、歌物語を思い出す。氏の小説は、暗澹たる日常を過ごすなかで、少しずつ何かが溜まっていき、それをどこかで排出する。排出されるのはもちろん、和歌ではなく、暴力だったり、性欲だったりする。そこがとてもおもしろい。暴力はもちろん肯定されるわけがないのだけど、氏にとっては暴力の発露は自分にとって不可欠なわけで......